kanehen

金属をたたいてつくる人 の忘備録です

渡りの足跡

春が近いからか、最近やっと本を読む気分になってきた。少し前に買って、積読から。

梨木香歩 『渡りの足跡』 | 新潮社
昔から、小説家の書くエッセイが好きで、
筑摩書房 水辺にて ─on the water/off the water / 梨木 香歩 著
も、読んでいる。

「水辺にて」では、そろりそろりと水辺に寄ってゆき、いつのまにかマイカヌー(カヤックだったか?)を操っていて、その行動力を羨ましく思っていたが、「渡りの足跡」では北海道やロシア?を鳥を追いかけて、自ら飛行機を操る勢いで(運転はしていないけど)どこまでも飛んでゆく。

やっぱり春が近いからかな、私もどこかに飛んでゆきたい。

 

例えば、少し前にモビールを納品した、石川県のツカノマさん

https://market.tsucanoma.com/

とか。いちこちゃんにも会いたいし、シュヴァルツと会わせたいし。

黄金有情

今年は後期の授業2コマ(180分×15回)で鍛金(非鉄)の授業をすることになったので、いろいろ思い出したり、YOUTOBEで金工で周辺の動画を見漁っていたのだけど、ほんとに今はいろいろなんでも動画があるもんだと感心する。けれど、やっぱり何か足りないなぁと本など探していて、偶然「黄金有情 金工のものがたり」 大角幸枝著 里文出版   を見つけて読んだ。

大角幸枝さんと言うのは、鍛金の人である。いわゆる工芸の公募展の日本工芸会というのに所属してる人で、東京藝大の芸術学(座学系)出身から、実技に興味を持って、鹿島一谷、関谷四郎、桂盛行(3人とも人間国宝)に師事、日本伝統工芸展を中心に作品発表、受賞を重ねたということで、女性ではじめて人間国宝になった人でもある。

私が在籍していた頃の藝大鍛金研究室は日展、現代工芸系の先生だったし、オブジェ全盛で、用途のあるもののほうが珍しかった、工芸科なんだけど。そして伝統工芸系の仕事をしている先生も生徒もほとんど居なかったし、大角先生と接点は全く無く、ちょうど大学院を卒業した年に先生は人間国宝になっているのだけど、全く知らなかった。

と、この本はヨドバシでバーゲンブックスとやらで、定価の半額近くで売っていた。鍛金に興味がある方は千円ちょっとで買えるので、ぜひ買った方がいいと思う。金工愛に溢れている。とりあえず、私としては金工史の先生だった中野政樹先生が中野恵祥先生の息子だったとかちっとも知らなかったし、なんなら授業の内容もちっとも覚えてない。

本の内容は、カラー図版18ページに作品についての解説、工芸素材としての金属、金工の歴史、彫鍛金の道具、彫鍛金の技法、彫鍛金の仕事、金工の美学、工芸を巡る随想と、大角先生の言葉で思いを込めて書かれている。

文星で伊藤萌木先生の助手していた4年間、昔話はいろいろ聞いて面白いから本にして残してくださいよと話していたけれど、それも叶わないまま萌木先生は亡くなってしまって、あっという間にあの時代の普通のことが消えてなくなってしまうんだと思うと、こうして本にして残していただけたことに感謝でしかない。

「有情」うじょう 感情や意識など、心の動きを有するもの。仏教では 全ての生命あるもの。 全ての生きとし生けるもの、だそうだ。大角先生お年は今年78歳のはずですが、日本工芸会のホームページを拝見すると昨年も新作を出品されているようで、尊敬としか言いようがない。

本の中で引用されている本も多く、これから探して読んでみようかと思う。

スキー

去年、一昨年はあまり行かなかったスキー、新年早々の地震もありなかなか足が遠のいていた。年々雪も少なく、10年前に家から30分で林間初心者コースで味わったパウダーはもう幻かもしれない。


そんなわけで、少し前に夫氏のプランでいつも行かない、高鷲スノーパーク(家から2時間?)へ家族3人で。雪質は良かったが、遠さ=早起きとあまりの人の多さと食堂の混雑、スノボとスキー混在で、シーズン1回目の私はいろいろお腹いっぱいになり、犬の留守番も心配で、無理せずさっさと帰ってきた。

帰ってからの全身筋肉痛の波状的ライムラグに年齢を感じつつも、楽しかったけどいかんせんすべり足りず、ちょっと消化不良。

で、今週末は地元(と言っても1時間半はかかるけど)木曽福島スキー場へ。子は留守番。木曽福島はスキー限定だし、夫のテレマークチームの方々の自主練場所ということで、夫はチームの方達と合流。

御嶽山

私は初心者コースをマイペースに楽しんだ。途中、ビンディングが外れて盛大に膝から転び、左膝が青タン通り越して赤タン?になっているが、すべるには関係なかったので筋肉の限界まで滑って満足。骨折とかの怪我しなくてほんとうに良かった。

今日は筋肉痛はひどいし、くたびれて1日ゆるゆる過ごす羽目になるのだけど、野外で思い切り体を使って遊ぶのはいいことだ。今回は雪は少なかったけれども、風もない晴天で暖かく、遠くの御嶽山も絶景でよかった、また行きたい。 


追記:2月22日写真入れたけど、滑るので忙しくあんまり撮ってなかった。

被災動物救護について考える

瑞浪市まで、市民公開講座 災害時ペットの命はあなたが守る〜東濃地域における被災動物救護について考える〜 主催:公益社団法人岐阜県獣医師会東濃支部 共催:公益社団法人岐阜県獣医師会開業会 後援:多治見市、瑞浪市土岐市

に行ってきた。

夫氏が去年防災士の資格をとったし、犬飼いとしても興味があったので夫婦で行ったのだが、2時間半の予定だったが、講演者それぞれに熱い思いがあったのか、トイレ休憩も省略、30分ほど伸びて3時間。久々に座ってしっかり話を聞いたので、後半足ぶらぶらさせてた。

とりあえず、我が家でまず採用になったのは、名前札(名前+飼い主氏名+電話番号+住所程度?)を常時着けられるようにしたい。これから首輪を探す。
犬用の水や食料などは備蓄していたけれど、狂犬病や予防接種、ダニ予防薬やかかりつけ獣医師などの情報をまとめて、持ち出し袋に入れた。病気などがあればこれに薬も入れる。

 

同行避難 ー 伴って避難するが、別(主に建物外)で動物は暮らす。
同伴避難 ー 伴って避難して、同じ部屋で暮らす 


同行避難と同伴避難、知らなかった概念。東日本大震災の時には、同行避難の概念すら希薄で、たくさんの犠牲と混乱が続いたそうだ。その後、環境省でペットの被災について検討され、同行避難を基本とした対応が必要と判断されている。

現実、ほとんんどの自治体で同伴避難は難しく、避難した時にペットとどのような環境を整える必要があるか、飼い主として準備すべきこと、行政に働きかけけるべきことなど課題は多いと思った。

 

以下は講演会のメモ

1、東濃地域における土砂災害の実態と対策 国土交通省中部地方整備局 多治見砂防時工藤事務所 

https://www.cbr.mlit.go.jp/tajimi/

地震の直接被害以外にも、東濃地方では雨、台風などで土石流、崖崩れ、地滑り、降雨傾向の変化により今までとは異なるタイプの土砂・洪水氾濫などが増えてる。砂防ダムの解説。ハザードマップ。などなど、東濃地区の地形特有な災害パターンについての解説と、現在行われている対策、事例の紹介などでした。

2、東日本大震災福島県で被災した体験に基づいたペットの防災 NPOすえひろ 愛護団体アニマルレスキュー飛騨 五十嵐浩子さま

五十嵐浩子の防災mini+ - YouTube

猫2匹、犬2匹とご家族で福島に暮らし、今現在は飛騨高山に定住されている方で、猫はガラスが割れて飛び出し、犬は戻れると思って繋いだまま避難生活に。犬は保護団体(みなしご救護隊)に連絡がついて一緒に避難、猫はアニマルエイドにて1年後に1匹、1年8ヶ月後に2匹目も見つかって、今は一緒に暮らされているそうです。
我が家もだが、避難をせずに自宅や車中泊を考えていたが、「避難を諦めることは、何かあった時に救助や遺体を確認することを他人に強いる結果を伴う、避難を諦める前にできることをすべきだ」というようなことをおっしゃっていたのが印象に残った。


3、飛騨市の被災動物救援 飛騨市役所 吉川慶さま
災害時のペット同行避難対策として、市民への働きかけから防災訓練にて、「ペット同行避難訓練」を実施した経緯、ノウハウなどのご紹介。

飛騨市避難所運営マニュアル(p49 ペットの同行避難について)https://www.city.hida.gifu.jp/uploaded/attachment/18538.pdf

 

4、公益社団法人岐阜県獣医師会の動物救援と岐阜VMAT公益社団法人岐阜県獣医師会災害派遣獣医療チームについて 公益社団法人岐阜県獣医師会東濃支部 前田敬生さま

岐阜県獣医師会

人間向けの災害医療チームの「DMAT」の獣医師板が「VMAT」で、岐阜県では令和元年に発足して、活動しているそうです。「命の尊さは人も動物も同じ」と熱く語られてました。

 

5、飼い主様アンケート調査報告と防災グッズ 公益社団法人岐阜県獣医師会東濃支部 武田礼司さま
現実的な獣医師目線での震災時のペットに関わる人たちへの要望などご指導いただいた。とにかく、人間もペットも、自助、共助、公序、減災ですが、ペットに関してはまず自助で行うべき、と環境省から指導されている。飼い主としての責任を自覚すべき。


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環境省がペットの管轄なんだと、初めて意識したかもしれない。ということで、環境省のペット防災関連報告書へのリンク。

災害、あなたとペットは大丈夫? 人とペットの災害対策ガイドライン<一般飼い主編>( PDF)
「ペットも守ろう防災対策」H29( PDF)

「人とペットの災害対策ガイドライン 災害への備えチェックリスト」( PDF)


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能登地震のペットたちは、この寒さの中どうしているのだろう。今できることは募金と、自らは備えることなので、忘れずに考えて、できることからやってゆこうと思った。

募金窓口:令和6年能登半島地震動物対策本部からのお知らせ|石川県獣医師会

2024 これから

仕事始めの夫氏を送り、おもむろに日常運転に戻る。とはいえ、子供の学校もまだ始まらないし、十日えびすまではなんとなくお正月気分、いつものこと。

今年は年末の注文を2月くらいまでかけて送り、5月にはコーヒーのグループ展が一つ。そこで久々にモビールでない、コーヒーメジャーなどをリニューアルしつつも再開予定。7月には東京のドワネルさんで個展。9月からは予定通りだったらまた非常勤講師のお仕事が始まる。10月にはアナログライフさんでの久々の展示。

非常勤講師のお仕事。毎週往復2時間かけて、高速道路で名古屋の端っこに行くのだけど、昨年は最初はまぁまぁの緊張感、だんだん後半は慣れてきた。とはいえ、有意義な時間を過ごすためにはそれなりに整え、準備する必要があり結構消耗するということもわかった。

そして、昨年の展示で私の中のモビールはひと段落した(簡潔に言うと動かないものも作りたくなった)そして、同時期に要望もあったので、叩く仕事、動かないものをつくってみようと思う。とはいえ、制作のメインはモビールで、企画展の時だけになるかと思いますけど。

モビールに切り替えて5年、その前は産休があったり病気だったりで正味10年くらいのブランクになる気がする。その間にレーザー加工の技術が向上(?)して真鍮も対応になったらしいのでカットする労力は軽減するかも、しかし地金はびっくりするほど高くなった。そして、いろんな若い作家さんも増えてそれぞれに見えているものが違う、出てくる形が違う。そんな中で、私の仕事を面白がってくれる方々がいるようなので、ありがたく、また挑戦してみようと思う。

それとは別に、今年は前半にモビールをつくり貯めて、定番をあらためて撮影して紙に印刷したい。今までは動くところを見られるように、Instagramで動画ページをお店向けにつくっていたけど、まとめの記録として冊子のような感じで作ろうかなと思ったりしている。まずは定番全種類を揃えてから諸々は考えよう、3月くらいまでに、かな。

そして、制作と同じくらい庭と畑を整えたい。日が当たり、土があって、季節が巡って行く中で、物言わず育つ植物とかきのことか菌類とか、日々生きているいろいろなモノたちを少しでも理解して、暮らしてゆきたい。

2023ふりかえり

10月の兵庫lizmさんでの個展のあと、なにかと気忙しい日々に忙殺されて、気がつけば年末でした。Instagramの方やら、Twitter改めXのほうではちょこっちょこ投稿したりもしていたのですが、このブログに書くずくが無かったのです。

まずは2023年の振り返り。kaehenとしては6月にchigiriさんでのふじい製作所さんとの2人展、コラボの品々が新しいスケールのモビールを産んでくれました、面白かったなぁ。10月のリズムさんでは素晴らしい景色の中全ての定番モビールを展示するという今までに無い機会となり、モビールをつくってきたこの5年ほどの集大成の様な展示になりました。
そのほかにもいくつか新しい場所での展示や、12月には名古屋鳥の巣さんでの真鍮展など続けて機会をいただけたり、年末には新しく福岡の方に送らせていただきましたが、これはもう少し先のお知らせになりそうです。とにもかくにも続けられる環境のあることを、ありがたく思います。


プライベートの方では、子供が中学生になり私の背を抜きました。言うこともだいぶ立派になってきて、家族の一員としてだいぶ心強くなってきました。夫はインフルエンザもらってきたり、加齢を感じつつも抗ってゆこうとしています。犬は3歳を超え、家では暖かいところで寝転がってばかりですが、犬学校では相変わらずにやんちゃしているらしいです。
私は後期から名古屋芸術大学に一コマ授業しに行っていました。今時の若者に接する貴重な機会と思い、役に立っているかわかりませんが、週に一度の社会勉強と思って、面白がっています。来年もあるみたいです。(非常勤講師の辞令は3月?なのでそれまではわかりませんが)

それから、庭のこともメモ。2023年は葉物野菜もよく育った。謎の菜葉とかよく食べた。トマトは流石に連作の影響か途中で青枯れ病が出たけどまぁ食べれた。ピーマンま霜が降りるまでよくとった。ジャガイモや里芋は水不足か全く育たずチビばかり、四角豆と大平インゲン、茄子は豊作。今年はジェノベーゼは作らなかったが、ドライにして色々重宝している。(チキンなどの下味に)秋野菜ははじめての野沢菜が6kgも取れたので切り漬けにしてずっと食べている。

ゆずが沢山取れたがあわててジャムにしたのは少し砂糖が少なかった、反省。いくつかは生でつくるゆず茶にしてみたがどうだろう。冬の入り口に夫が実らなくなった庭の渋柿の木を切った、大きくなりすぎたプラムの木も小さくした。この家に住んで11年?どんどん植えた庭木も小さくしたり片付けたり、少しずついい感じにしてゆきたい。

暮らしに特に先生がいるわけではなく、良いなと思うことやモノを心の中に留め置いていて、少しずつ自分でできるように試している。うまくいかない時もあるし、失敗もするけれど、周りにいる家族や、仕事であればお店の方々や手に取ってくれた人たちのことなどを思いながら、また自分で考えたり試したりして少しづつ居心地良くできればと思う。
12月は余裕を持っていたはずが、何をしていたのか、庭の片付けと大学に毎週行くのと、犬の散歩でいつに間にかギリギリまで大掃除していた。年末に母のところで餅つきをして、お鏡をつくった。おせちは今年はつくらず、近所のお店のをいただいてみた。

そして、リアル新年の挨拶などを済ませ、さて年末のやり残しをと片付けていたら能登地震が起きました。我が家周辺は震度4、体感的には随分と長い揺れで大きな地震に違いないびっくりしました。明るくなっても地震の全貌はまだ分からず、救助を待つ人もいらっしゃるようで、余震も続いていますし、とにかくはやく事態が治ることを祈るばかりです。