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金属をたたいてつくる人 の忘備録です

意匠研の講演

多治見市陶磁器意匠研究所http://www.city.tajimi.lg.jp/ishoken/の特別講演に行ってきた。唐澤昌宏さん(東京国立近代美術館 工芸課長)講演タイトル「作家の言葉から陶芸(工芸)を考える」で、工芸という言葉のイメージを展開、複数の概念が内包されている現状の確認、欧米における工芸の伝統Traditionと伝承の含まれ方、日本の伝統に含まれる革新についてもろもろ。そして作家の言葉から工芸を読み解く。

富本憲吉さんの「安く造って多くの人に使ってもらうのが工芸本来の姿であり 私が作陶するとき何時もその心持ちを忘れた事がない(中略)しかも手工芸の美しさを失わないものを〜略」の思想から考えられた以下4つの制作方法というのが大変興味深かった。

〜引用
①富本自身が轆轤を挽いて素地をつくり、それに富本が模様を施し焼成する方法
②規制の素地に富本が模様を描き、焼成は職人に任せる方法
③富本が見本をつくり、素地も模様も焼成も職人が行う方法
④富本はデザインだけを行い、大資本の工場で機会による生産を行う方法

上記の③までは実際に行っていたそうです。現代であれば国宝級の人が望めば④もすぐにコラボレーションとか言って実現しそうな気がする。今も昔も工芸の人は、本人の手が2本しかないけれど、どうにかしたいと思っていたんだなとじわじわと考え込む。

90分くらい椅子に座って一方的に話を聞くという学習スタイル。久しく味わっていなかった、束の間の学生気分を味わえて楽しかった。そして、最後に挨拶(?)をしていた意匠研所長の中島晴美さんが隣町にお住まいなのを知った。作品はよくわからないのだけど、面白そうだと思った。

追記メモ:富本憲吉論 ―思想と作品 松竹洸哉