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金属をたたいてつくる人 の忘備録です

自己免疫疾患の謎

「自己免疫疾患の謎」 http://www.seidosha.co.jp/book/index.php?id=3367 アニータ・コース 著,中村冬美、羽根由 訳 青土社 

著者はイギリス出身のインド人で医者の家系、母親を関節リュウマチで亡くし、パートナーの出身地ノルウェーで医師として働きながら、関節リュウマチの研究をし、治験を重ね、大きな成果を発表した。その成果を元に日本の製薬会社アステラス製薬での関節リュウマチの新薬が2019年に発売された。

本の中の話は最近の話で、著者は私よりずっと若く、現在も免疫システムと性ホルモンに関する研究を続けてる。

私はリュウマチが自己免疫疾患なのは知っていたが、命を奪うほどの重篤な症状が出ることは知らなかった。自己免疫疾患が、いかに一人一人の症状として差があると言うことを本書で知った。私の持病、バセドウ病も自己免疫疾患なので、とても興味深く読んだ。

バセドウ病になって思うのは、なぜこの病気になったのか、と言うこと。遺伝因子、環境因子、ストレス、などなどどれも単独の因子では無いと思うけれど、病気が体からのサインだとすればそれを正確に受け取って、変えることでしか寛解バセドウは治ると言わず、無症状を維持できる=寛解と言う)に向かって行けないのでは無いかと思う。

世間を騒がせている新型コロナにも通じる話だけれど、高齢者は免疫システムが弱くなるのでウィルスにかかりやすく、重症化しやすい。そして、実はインフルエンザワクチンの摂取はここ数年していなかったのだけど、ワクチンは免疫システムの貯金なのだという説明も本書を読むとより深く納得できた。来年からは受けても良いかもしれない。

こうして、真摯に病に向き合う研究者、医師の方々のおかげで治る病気が増え、その恩恵を受けることができる。象牙の塔やガラスの天井、ざまざまな垣根を取り払い、事後の検証が今後の社会に還元されるべきだ。多くの人が健康でいられますように、と、今は祈るばかり。