kanehen

金属をたたいてつくる人 の忘備録です

名古屋

ナカオタカシさんの工房展に行って来た。
パーツのことで時々お世話になっているし、なんとなく行ってみたかった。

1時間半程を電車に乗るのも旅っぽくて良い。前日に降った雪がまだだいぶ残っている最寄り駅からの景色。山(恵那山?)は真っ白。久々に乗った電車で何がショックかと言えば、いろんな匂いがすること。慣れるまでしばらく閉口した。そうだった、人が集まる密室はたいてい臭い。


会場ビル入り口。大きなオリーブの樹に黒い実がぽつぽつ実っていた、さすが名古屋は温かいな。


クラフトフェアでも見たはずなのだけど、わさわさして見た気がしておらず、初めてまとまった数を見せて頂いた気分になった。なんだろう、その後紙媒体などのメディアで写真など見ていた印象よりもずっと、そう、手で作っているという形跡を感じるかたちだった。その素材の特性の乳白色のような半透明な色合いの印象に加えて、ぐっと手作り感が迫って来る。そして、本人と話してみて、「プロダクト」との違いという事をとても意識していらっしゃることが解り、腑に落ちた。
何となくノリで行った展示であったけれど、帰りの電車の中ではその素材が木や土(陶)とは異なる、いわゆる天然の素材(で、合っているだろうか)ではないという金属との共通点をかみしめながら、色々考えた。用途や造形であれば、量産品の「プロダクト」の方がきっと安く、沢山提供することができる。(それが目的でもあるだろうし)そこを、敢えて手づくりでやること。
今の家に引っ越す前、狭い小さな一軒家に2年だけ住んだ。そこで子との生活が始まり、まだ寒い時期には一日1時間にも満たない買い物や暖かい時間の散歩以外、ずーーーーーーっと、室内で過ごした。台所も狭く、流しの上のフックに道具類を並べておいていた。
居間からダイニングを眺めると、流しの窓から午後は陽が差し込む。赤子は寝ていたのかそれすら覚えていないけれど、フックに幾つもかかった鍋類の中の1つが、ほんとうに美しく思えた。自分の叩いたフライパンだった。真円にちかいけれど、機械でつくったような精度ではもちろん無い、なにか揺らぎのようなものがシルエットから感じられた。とても、安心できるかたちだった。
ま、そういうの、大事だと思います。

 その後、毎度行くドイツパン屋に行って山ほどパンを買い。お気に入りのケーキ屋でランチを食べ、コーヒー豆を買い、帰路はいいにおい(パンとコーヒー)に包まれました。


 そして、見ていたら欲しくなったナカオさんトレイ。一回り小さい四角いのと悩みましたが、置こうとおもっていたキッチンカウンターにぴったりサイズで嬉しくなりました。塩と胡椒(のミル)と、鍋敷き兼鍋つかみを予定通り置いてみた。我が家は割と木ばかりなので、新しい素材はどうなるのかなと思っていましたが、とりあえずは大満足です。