kanehen

金属をたたいてつくる人 の忘備録です

周辺へ



2002 周辺へ (撮影:2005)

これはkanehenをはじめる前の2002年(だったと思う)につくった作品。アルミの船を3つつくり、それらに水を張り、銅でできた椀を沢山浮かべたもの。壁面にはピカピカの銅のこれまた椀のようなかたちを並べた。
1999年に大学を卒業して、2000年から大学に勤め、大人としての振る舞いについて自覚した頃。(だいぶ遅いが)
学生時代には垂直に伸びてゆく「つのぐむ」というタイトルで、植物をモチーフに作品をいくつかつくっていたが、それは自分自身の成長と作品を重ねていたものだと少し後に気がついた。
この「周辺へ」はそれまでの自分自身への関心が、周辺の学生達や同世代、家族など、そのまま周辺へと移っていたことを、つくってからしばらくして気がつく事になる。
今改めてこの写真から読み取れるのは、鏡面であったり水面であったり、どうにかして見る者を作品のなかへ取り込もうとしている、ということ。自分と、周りの世界とどうにかして関わってゆこうとしている。この2年後、大学を辞めて、kanehenとして生活のものをつくり始める。