kanehen

金属をたたいてつくる人 の忘備録です

価値とか

偶然に、ダニエル・アーシャムという作家を知った。現代美術家で、いろいろなものを遺跡のようなマチエールを施して作品にしているらしい。そして、色覚異常を持っているので、初期の作品は白やモノトーンが多かったらしい。2015年から色覚補正メガネで色を使うことが可能になったらしい。そして盆栽好きで、奥様は日本人のハーフらしく、日本にも縁があるということだ。 

どの辺からかはわからないけれど、デザイナーでもあり?ポケモンとコラボしている、ディズニーやディオールユニクロなどのファッションブランドもある、最初に見たのが彼のインスタだったので、ドローイングとかだけで見ると、格別上手という感じでもなかったので、その122万越えのフォロワーに驚いた。(村上隆氏は240万越えらしいけど、ちゃんと?ダニエル氏をフォローしていた)
映像作品もあるけれど、基本的に既成の造形物を遺跡風にしている。ものすごくわかりやすい。ポケモンが好きな人だったら、きっと欲しくなるんだろうな、部屋に飾りたいだろうなと感覚的に思った。他にも、スタウォーズのハンソロとか、スポーツカーとか、たぶん有名なラッパーの首像とか、ミロのビーナスなんかのギリシャ彫刻とか、それ自体が既に憧れの対象のようなもの、それぞれに遺跡風のテクスチャをちりばめて自分のモノとしている。

だけど、それ、どこにも、新しい造形があるとは思えない。でも、物語はあるとは思う。遺跡から遺跡風なテクスチャを抽出して、それを多くの人が既知の造形に組み合わせて、現代の形が古めかしく見える差異、違和感。ああ、でも、それ以上に、コミットすることが、きっと、大事なんだね。今の時代、モノ自体に力を持たせるには、強いものと強いものを掛け合わせる。

そしてなにより、こうしてあらゆるところへ、自分の要素である”遺跡風“を展開できる力、コミュニケーション力であり、実行力、物理的に実現する力、速度感、社会とコミットする力、それらが美術の重要な要素であることは間違いない。まぁ、いろいろ包んでいた夫婦でもそう感じていたけれど、私は自己像と微塵も被らないそれらの要素にガーン無理っ!てなったけど。

今朝、現代美術は簡単ではないが、それは美術史の現代の最先端であるから過去の美術を踏まえておく必要がある。その程度に基礎知識は必要だという至極当たり前のことを見かけた。それは頭では解っていたが、はじめて現代はどこにあるのか、今気が付いたような気分だ。

何のことやらだが、私はカルチャーショックを受けたという事だ。あら、ポケモンを遺跡で、そうなの?あらあら、ミューツーまでそうなの、びっくり。便器を泉だと言った人もいたし、何を今更と思うけれど、デュシャンは美術界の事件ではあったけど、現代は今のその時代とは伝播する力が違う、今、私の生きている現代はまだまだ面白がれることがいろんなところに落ちているなと思った。ほんと、世界は広い、おもしろいわ。

とはいえ、私は相も変わらず手工芸的で私小説的なモビールをつくり続ける覚悟です。