kanehen

金属をたたいてつくる人 の忘備録です

ありがとう三島

静岡県三島市のchigirimさんでのふじい製作所さんとの2人展(ふじい製作所さんはご夫婦なので3人展?)とオンライン展が無事終わりました。

特別なコラボのモビール=卓上のバリエーション(コレクションボックス、小さな箱の中に組み立てのモビール、通常サイズの卓上モビールを箱台座に収める)をメインの展示になりました。

コラボの提案をいただいて、木という素材は工業製品の金属とは違う圧倒的な唯一無二の魅力があって、そこに遥か縄文時代から歴史のある漆が加わって、その素材感に圧倒されつつも、なんとか見たことのないものをつくりたいという思いで制作しました。

3年前にchigiriさんで3回目くらいのモビールだけの展示をして、さこうゆうこさんとのガラスのコラボもその展示がきっかけで、今も定番の卓上モビールの台座があります。

今回、ちぎりさんからのオーダーの小さめの吊るしのモビールは余裕のある数をお納めできて、工房のリフォームや、お手伝いさんなどなど、制作に向けた体制づくり、結局3年近くかかったわけですが、どうやら整ってきたのかなと思えました。

それでももっと小さいアイテムや、大きめのモビールも何タイプか選択肢があればよかったのかな、という感想もちらほら。

大きいモビールをつくる楽しさと、小さなモビールを作る楽しさ、どちらも大元は同じなのだろうと、終わってから感じはじめています。スケール感は経験して初めてわかることばかりです。この機会をくださったchigriの西島さんと、こちらの要望を叶えてくださった、ふじい製作所さんに感謝いたします。

online Kanehen+ふじい製作所 展示会 

ちぎりさんの会場での展示も無事終わりまして、オンライン展示会始まってます。(明後日の28日までです)

utuwachigiri.base.shop (ぐーっと下にスクロールしてください)




特設インスタグラムにて、動画もご覧いただけます。

https://www.instagram.com/utsuwachigiri_kanehenfujii/

 

今回の展示は、店主の西島さんのリクエストでふじい製作所さんとのコラボを特に小さな卓上でいろいろと楽しみました。ちぎりさんに直接行けない遠方の方にも、ぜひご覧いただければと思います。

 

ーーーー

というわけで、制作はひと段落。つくったものを送って数日気が抜けてぼんやりしてしまっていたのですが、ハッと我に帰って今はひたすらに家のことをやっています。

青梅は16kg収穫してほとんどは梅シロップになりました。大豊作だったスナップエンドウも流石にもうおしまいなので種をとって片付けて。梅干し用に熟すのを待っていた大玉の梅をとったり、一瞬で旬が走り去って行く大石プラムが今年は豊作で、動物に勘付かれないように少し早めに取って、追熟させてこれはジャムになる予定。

梅雨時期は油断するとあっという間にジャングルになるので草むしりをあちこちで、夏野菜の苗に追肥して、少し前に収穫した玉ねぎをきれいにして袋に詰めて吊るしたり、そうこうしているとブルーベリーが色づき始めているので、こちらも一年分のジャムになります。

そんなこんなで日差しのキツくない時はとにかく外であれこれしていたら、ただいま全身筋肉痛です。

 

kanehen +ふじい製作所

kanehen +ふじい製作所 展示会 「形 質感 ハーモニー」

2023年6月17日(土)-25日(日)  11:00-17:00 会期中無休
オンラインショップ 26日(月)-29日(木)

真鍮モビールを製作されている kanehen
木と漆にて器と箱物を製作されている ふじい製作所

その存在があることで周りの空気が変わる
彼らが生み出す形と質感のハーモニー
美しき意匠をお楽しみくださいませ

各々のソロ作品
器やモビールもご覧いただけます

utuwa-chigiri  〒411 0858   静岡県三島市中央町2-37

==ちぎりさんでの2回目の展示。

前回3年前のガラスのさこうさんに続き、今回は木工・漆のお仕事をされているふじい製作所さんとのコラボをさせていただきました。

DMの品はふじい製作所さんにつくっていただいた、手に収まりそうな小さな蓋もの。組み立て式のちいさなモビールを収納でき、蓋部分に支柱を入れる穴を開けて台座にもなります。
他にも、モビールの台座を木でつくっていただいたり、乾漆のパーツをつかいモビールを組み上げたりと様々な新しい品がコラボレーションで生まれました。素材に目を凝らし、手に収め、重さを感じ、心地よい空気をで探り当てる、宝探しのような時間を過ごさせていただきました。ぜひ、多くの方にご覧いただきたく思います。


吊るしの定番のモビールも新作も合わせて小さめをいろいろお納め予定です。展示しきれない分はバックヤードにあると思いますのでお尋ねください。

今回、家族行事で在廊はできないのですが、雨の日も晴れの日も、chigiriさんの店内に心地よい風が吹くのを想像しています。

大阪京都の旅

6月の展示まで残すところひと月も切って、ふと用事が3つ重なったのをいいことに出かけてきた。大阪でだいぶ先の話の初めまして、それから先輩たちの展示会、そして昨年お店を仕舞われた手仕事雑貨屋風土の浦田さんの新居にお邪魔してきた。

このブログの本来の目的、備忘録としてテキストだけ書いておく。あとで画像入れるかも。

大阪、家から高速で3時間半くらい。実際には寄り道して4時間だったのだけど、大雨。大阪に入って高速降りる直前に盛大に「カンッ!」て音がして、市街に入って車を止めてみたらフロントガラスにヒビが入っていた。びっくりした。大阪怖い(偏見)。

お休みのところ開けていただいていたお店に伺って、店主の方とあれやこれや。子育てしながらお店オープンと聞いて、そのパワーはどこから来るのだろうとフワッと思いつつも、それでもなにかをしたいという気持ちに共感しつつ、再来年を楽しみにできることを考える。

紹介してもらったおしゃれカフェでゆるりとパスタなど食べて、少し離れた郊外へ移動。

先輩お二方の展示を拝見に、うつわ一客 二人展 越範広(陶)・田中千絵(金工)へ。住宅街の中の一軒が中に入ると落ち着いたギャラリーになっていて、雨と相まってしっとりとした空間。千絵さんは卒業後も時々会っているけれども、越さんは学生時代に接点ほとんど無かったと思うので(案の定、私が誰かわからなかったらしいし)なんだか色々懐かしいことも思い出しつつ、不思議な気持ちになる。

そして民族博物館へ。企画展は「ラテンアメリカの民衆芸術」造形的にも面白かったのだけど、民衆の芸術というワードが、生活の工芸となんとなく私の頭の中で交差してゆく。モノは常にヒトにつくられていて、モノだけで語られることは全く足りないという事実をまざまざと感じ入る。私自身はモノの力を信じて、私を離れてモノとして残ってゆくことを良しとしているのだけれど、それは思うよりも愚かなことなのかもしれない。だが、そうだとしても、モノがヒトを語るのは変わりない。

その後、常設展をぐるりとみて、結構時間があったはずなのだけど、気がついたら閉館時間が過ぎていて、慌てた。いちにち雨だったのだけど、小一時間車を走らせて京都へ移動の頃には雲はだいぶ薄くなっていた。平日だというのに観光向けらしい場所にはびっくりするほど人が歩いている。なるべくそういうところには近寄らないようにして浦田さんの新居へ。

京都らしい細長い奥に小さな庭のある和風のお家。ぎゅっと詰まっていて楽しい。新しい建材と昔ながらのつくりが、なんだか懐かしい感じもして居心地良い。至れり尽くせりなおもてなしをしていただき、気がつけば日付が変わっても話は尽きない。翌日は近所を散策して、お昼までのんびり過ごさせていただき、帰路。

帰宅後に車をディーラーに持って行ったら、案の定フロントガラスは交換。このご時世だからかメーカーから交換のガラスが来るのは数週間かかるとか。面倒だけれど、籠って仕事しなさいということかもしれない。追い込み、頑張ります。

「ガラスとカナモノ展vol.4」

追記:~5/28(日)15時 期間限定オンラインショップやってます。

ガラスとカナモノ展vol.4
2023年5月12日(金)~5月28日(日) 10:00 ~ 17:00 火曜定休

ガラス作家の生島明水さん、サブロウさん、早崎志保さん、金工作家のkanehenさん、川地あや香さん5名による展示会です。

吹き・ムリーニ・キルンワークなどの技法で表現された彩り豊かなガラスの器たち。真鍮・ステンレスなどを用いて制作された器やカトラリー、モビールなどが並びます。ゆるやかな風の流れ、光のゆらめき、やさしい時間を感じさせてくれる作品たちを、この機会にぜひご高覧ください。

ギャラリー「宙」 | 市之倉さかづき美術館

----

ということで、多治見市の市ノ倉さかづき美術館のギャラリー宙さんでのグループ展にはじめて参加します。モビールを16点送りました。内、卓上は5点です。
今年は来月の静岡の三島、chigiriさんでふじい製作所さんとの2人展、秋に兵庫のlizmさんと遠くになります。今展は比較的ご近所です。

初日は10時〜(昼休み入れつつ)15時くらいまで在廊したいと思ってます。

越境と覇権

『越境と覇権―ロバート・ラウシェンバーグと戦後アメリカ美術の世界的台頭』池上裕子著 

 Twitterで読むと良いというのを見かけて、読んでみた。

副題にあるように、当時の現代アートの市場の先端がパリからアメリカニューヨークに移った顛末を、ビエンナーレで大賞をとったラウシェンバーグを軸にその作品の評価の変遷と、転換点になったビエンナーレの各国の思惑、画商、美術館、コレクターなどなど、のやり取り経緯を詳らかに明かしている。

もちろん、その主題はまるで物語のように面白く読めたのだが、第4章で日本でのラウシェンバーグの活動の中で、日本の現代美術のマーケットが形成される時期と重なっている様子が描かれていて、とても興味深かった。ついうっかり昔(?)からあるように錯覚していたアートマーケットだけれども、たったこれだけの歴史しか無いのかと。
無論、その前にも茶の湯はあったし、書も日本画も建築もあったし、工芸もあったのだけど、それはまぁいろいろ市場とか、購買層とか、まぁなんとなく特権階級的な意味での一見さんお断り的なカルチャーとかあったんだろうなと想像。そこからの戦後、アンフォルメルとか具体とかもの派とかスーパーフラットなんだなぁと。

それから、私の中のアートと現代の社会的な意味でのアートの乖離というか違和感が昔からあって、なんでなんだろうとうすらぼんやり思い続けていた。この本には割ときっぱりと「アーティスト=セレブ」という書き方がされていて、びっくりすると共に、それが求められる構造、成立してゆく過程のようなものを認識した。

それは、たぶん「セレブ=アーティスト」ということでもあるんだけど、そこに私の求めるアートがあるわけではない理由があるのだなと、改めて。

あと、この本は英語版が2010年に、2015年に日本語の本書が出版している。このような内容が誰でも(ちょっと高いけど)読める環境になっていること自体が、このアートの戦略はもう時代遅れと考えるのが当然で、2023年の今はどんなことになっているんだろうな。

チョコレートケーキ

バレンタインであるところの先週は、まだ病み上がりでとても手作りする気にならず、スーパーで一緒に買い物に行った夫をバレンタインの特設コーナーに呼んで好きなのを選んでもらった。が、流石になんだか味気なかったし、自分としても物足りなかったので娘と相談して改めてチョコケーキを作ることにした今週末。


「ムラヨシマサユキのお菓子 くりかえし作りたい定番レシピ」より。このケーキを作るのは2回目、前回もバレンタインだったような気がする。本に載っている見本とは似ても似つかない見た目、娘に飾るチョコ作りを頼んだら山ほど削ってくれて胡桃を隠す勢いだったが、美味しいからまぁよし。
展示でご一緒した寺井陽子さんのお皿「ゆきのた」を初めて使ってみた。んー、モサモサな何かが乗っている謎写真になってしまった。でも、お皿はとても素敵。

夜は、ラムしゃぶだったので、シュヴァルツ(オス)にもお裾分けしました。犬はチョコ食べれないからね。

ということで、まだちょっと痰が絡む感じがして違和感あるけれど、それ以外は全快したと思うので、マイペースにお仕事も進めています。今月は、東京と金沢にお納めと、6月の展示のコラボをグイッと進めてゆきたい!

そして、モビールからそろそろ自由になろうと思い始めている。自由に、造形を楽しもうと思う。春近しだ。